TVアニメ『東京リベンジャーズ』公式サイト

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花垣武道役・新祐樹×
稀咲鉄太役・森久保祥太郎 対談

PROFILE

新 祐樹

賢プロダクション所属。主に海外作品の吹き替えで活躍してきたが、『東京リベンジャーズ』のタケミチ役で初めてテレビアニメの主役に抜擢。

森久保祥太郎

アドナインス所属。1996年の声優デビュー以降、数々の人気キャラクターを好演。主な代表作に、「メジャー」(茂野吾郎役)、「NARUTO-ナルト-疾風伝」(奈良シカマル役)、「弱虫ペダル」(巻島裕介役)などがある

「やったー!」って叫んだ

原作『東京卍リベンジャーズ』を最初に読んだときの印象と、アニメへの出演が決まったときの心境を教えてください。

 最初に『東京卍リベンジャーズ』という作品を知ったのは、マネージャーさんからオーディションのお話を聞いたときでした。当時、タケミチ役だけが決まってない状況で、「熱いお芝居や、生っぽいお芝居ができる人を探しているらしい」というお話を聞き、お願いしてスタジオオーディションを受けさせていただいたんです。スタジオには、本当に大勢の声優さんがいらっしゃって、この中で自分が選ばれるのは本当に難しいと思ったので、逆に吹っ切れて、自分らしさを出すことができた気がします。しばらく、結果が来なかったのですが、マネージャーさんに問い合わせの LINE をした直後に、偶然、電話がかかってきて、「大声を出すことになると思うんですけど、今、声を出す準備は良いですか?」って。バイトに向かってる途中だったんですけど、バスを降りてすぐ、「やったー!」って叫んだのを覚えています(笑)。

森久保 新君は、こういうメインの役の経験は?

 地上波のアニメでは初めてです。

森久保 初めての主役が『東リベ』ってすごいね。おめでとう。超代表作になるね。

 ありがとうございます。本当に大きな役をいただけました。『東京卍リベンジャーズ』は、オーディションを受けることになった時点で、発売されている巻は全巻買っていて。今まで読んできた漫画の中でも一番面白い最高な作品だと思っていたので、めちゃくちゃ嬉しかったです。震えました。

森久保 本当に面白いよね。僕は、初めて読んだのが、オーディションの話が来る前か後か記憶が曖昧なんですけど。新君と同じで、そのときに出てる分を全部買って、最後まで止まらず一気に読みました。どの役でもいいから、とにかく、作品に関わりたいと思ったくらい面白かった(笑)。そこまで思わせてくれた作品は久しぶりですね。ただ、稀咲役に決まったときは、正直、「え、稀咲?」って驚きました。オーディションのテープは他の役(ナオト、ドラケン、場地)で提出していたし、自分では、一番難しいのが稀咲だろうなと思っていたので。

実は一緒に録ったことはない

新さんは、森久保さんの演じる稀咲について、森久保さんは、新さんの演じるタケミチについて、どのような印象を持っていますか?

森久保 コロナの影響で、少人数での収録になっているから、実は一緒に録ったことはないんだよね。

 はい。ただ、森久保さんが先に録られていることが多いので、僕の方は、お芝居を聴かせていただいて録ったこともありました。

森久保 そうそう。いつも僕の方が先に収録があったから、実は新君のタケミチの声を初めて聴いたのは、1話がオンエアされたときだったんだよね(笑)。

 そうなんですね(笑)。では難しかったですよね?

森久保 そうだね。新君ともスタジオでご挨拶したくらいで、ちゃんと話すのは今日が初めてだから。「タケミチはどんな感じなんだろう」って思いながら録ってたんだよ(笑)。スタッフさんに、頼んで聴かせてもらえば良かったんだけど。だから、放送を通しての印象になりますが、まさにオーディションで探していたというタケミチ役にぴったりで。生っぽく熱いストレートなお芝居がすごくいいと思います。

 嬉しいです。ありがとうございます。

森久保 タケミチは、ずっと泣きじゃくってるから、大変でしょ(笑)。

 はい(笑)。最初に「とにかく泣く役なので。いろんな泣き方してください」って言われたことを覚えています(笑)。僕が森久保さんの稀咲のお芝居を初めて聴かせていただいたのは、たしかPVでした。一言だけだったのですが、稀咲の不気味な分からなさというか、ドロドロしたものを感じて。「森久保さんと早く掛け合いがしたい!」と思ったんです。でも、結局、一度もできなくて、すごく残念でした。

アニメ『東京リベンジャーズ』は、衝撃的なラストで幕を閉じました。少し前の話にはなると思いますが、全24話のアフレコを終えたときの心境を教えてください。

 2クールは長いと思っていたのですが始まると本当にあっと言う間でした。駆け抜けた、という気持ちです。24話の中でタケミチは成長していきましたが、一緒に僕自身も成長させていただけたかなと思っています。セリフの量も多くて、物量的にも気持ち的にも、かなりカロリーが必要な作品に、全力で熱を込めて取り組めたことがすごく嬉しいです。汗をかきながら先輩達と掛け合うのもすごく楽しかったですし、その熱は、ここまで観てくださった皆さまにも、絶対に伝わっていると思っています。

初めて経験する地上波アニメの主人公役は、大変なこともありましたか?

 やってる最中は、原作から受け取る以上の熱量やパワーをアニメに込めて、アニメの制作陣やキャスト陣のパワーも皆さんに伝えたいという気持ちが強くて、大変と思う余裕もなかった気がします。とにかく、「伝われ!」という気持ちでした。

森久保さんは、第24話までの収録を終えたとき、どのようなお気持ちでしたか?

森久保 最後まで一人で録っていたので、ご時世が許せば、キャストのみんなで一緒に録りたかったなと思いました。ただ、逆に、みんなはどんな芝居をしたんだろう思いながら、オンエアを観るのが毎週楽しみでもあるんです。そこは、視聴者の皆さまと同じ気持ちでした。ただ、最終回に関しては、見終わった皆さんの「ここで終わりかーい!」という声が聞こえて来そうです(笑)。

 あはは(笑)。

森久保 あのシーンは、原作を読んだときもすごく印象的なシーンではありましたが、台本を読んだときは、「ここで終わらせるんだ!」とびっくりしました。

江口君は、もう半間、本人

先ほど、森久保さんには新さんの演じるタケミチの印象を伺いましたが、その他のキャラクターで、オンエアを観たとき、時に印象に残ったキャラクターはいますか?

森久保 みんな適材適所で素晴らしかったので、特にというのは難しいですけど……。あ、「ヒナちゃん、可愛い!」と思いました(笑)

 あはは(笑)。

登場キャラクターはほぼ男性ばかりなので、貴重な女性キャラクターですね。

 きっとファンの方もヒナ派か、エマ派かに分かれる感じですよね。

森久保 ヒナ役の和氣さんも、エマ役の内山さんも、まだ現場でお会いしたことがないんですよ。同じ作品に出て、みんなで一緒に作っているはずなのに、すごく淋しいことです。でも、さっきも話しましたが、その分、真っさらな気持ちで楽しみながらオンエアを観られるのは面白かったです。

 その感想が「ヒナ、可愛い」なんですね(笑)。

森久保 あはは(笑)。すごく新鮮な感覚ではあるよね。コロナ以前の状況だったら、あり得ないことなので。

新さんは、一緒に収録できた方と、そうでない方がいらっしゃると思うのですが、どちらも含めて、特に印象的だった共演者の方はいらっしゃいますか?

 もちろん、皆さんすごく印象的だったのですが、三ツ谷役の(松岡)禎丞さんと一緒に収録できたとき、お芝居を見て「怖!」ってなりました。禎丞さんの三ツ谷、お洒落具合とヤンキー的な怖さが絶妙ですよね。他のキャラクターとはまた別のヤンキーらしさを感じます。学生時代、普段は優しいのに、怒らすとめっちゃ怖い人がいたなあって思い出しました(笑)。あとは、やっぱり半間役の江口さんです。見た目からして似てますよね。

森久保 江口君は似てるどころの話じゃなくて。もう、半間、本人だよね(笑)。

 大人の半間と、スタジオにいらっしゃった江口さんが本当にそっくりで。タケミチがトイレでばったり半間に会ったときみたいな心境になりました。「どこかで見たことあるなあ……半間!?」って(笑)。

森久保 本当にピッタリだよね。ひょろっとした雰囲気もそのまんまだから、実写でも半間役をできそうなくらい。手の甲に「罪」と「罰」って書いて欲しい(笑)。

 実は江口さんが演じられるというのを知る前、原作を読んでいるときから、「半間って、江口さんに似てるな」と思っていました(笑)。もちろん見た目だけでなくお芝居も完璧で。想像を越えて来たというか、「半間は、こうやって喋るんだ!」と思うくらいぴったりで素晴らしかったです。でも、こうやって挙げていくと切りが無いですね。日野さんのキヨマサ君も超怖かったですし。

森久保 日野君のお芝居もすごかったね。

幅広い層の方に観ていただけているのを実感しています

アニメになった映像を観たとき、特に印象深かったシーンを教えて下さい。

 キヨマサ君に「タイマン買ってくれよ」というシーンは、原作だと1ページ、ドン!と見せることで印象的なシーンになっているのですが、アニメの場合、タケミチの周りをカメラがグルッと回りながら見せるんですよね。アニメならではの見せ方で印象的でした。あのシーンは、初めて「カッコつけて」というディレクションをいただいたことでも思い出深いです。

森久保 僕は日常のシーンが印象的ですね。河原をチャリンコで二ケツ(二人乗り)して走るところとか、仲間とバイクに乗ってるシーンとか。ああいう雰囲気がすごく懐かしくて、大好きでした。僕が高校生の頃、(バイクの)ゼファーがすごく流行ったんです。地元は八王子なんだけど、駅から家までものすごく遠くて。自転車だと1時間弱くらいかかるんですよ。

 それは、けっこうな距離ありますね。

森久保 僕は誕生日が2月だから免許がなかなか取れなかったんだけど、誕生日の早い友だちが先に中免(普通自動二輪免許)を取ってゼファーを買って。そのゼファーに二ケツして、川沿いの道を走って、駅まで送ってもらったりしてたんです。そういうことを思い出しました。

 たしかに、ああいう何気ないシーンは青春っぽくて、自分の記憶を思い返してしまいます。

アニメの放送がスタートして以降、『東リベ』人気のさらなる高まりを実感した機会はありますか?

 どこを見ても、なにかしらの『東京リベンジャーズ』の情報が入ってくるような感じなので、すごく実感しています。動画の配信サイトを見ているとき、「あなたへのオススメ」としてランキング1位の『東京リベンジャーズ』を薦められたこともありました(笑)。街中とか、いろいろな場所で主題歌の『Cry Baby』が聴こえてきたりもしますし。スタッフの方からも、男女問わず、幅広い層の方に観ていただけているというお話も聴いていて。ラジオ(『東京リベンジャーズ羅慈悪』)にも、女性ファンの方から、昔、暴走族だった旦那さんに薦めたら、「ヤンキー物なら何でもいいと思うなよ」とか言ってたのにハマっちゃった、というお便りも来ました。

森久保 すごくいいエピソードだね(笑)。

 素敵ですよね! 高校生の方からもメッセージをいただきますし。本当に幅広い層の方に観ていただけているのを実感しています。

森久保さんも、ファンの皆さんの反応などで、特に印象的だったことはありますか?

森久保 Twitterのハッシュタグで調べて、感想を読んだりもしたのですが、たしかに、いろいろな人が観てくれているんだなと思いました。稀咲が初めて出た回の放送後に調べたから、「稀咲、森久保なの?」みたいなリアクションもけっこうあって。「そう驚くよね。俺も驚いたもん」って思いました(笑)。あと、意外なところからも反響があって。家族もハマってるんですよ(笑)。普段はヤンキー物とか、血が出たりする作品はあまり観ないんですけど、「すごく面白い!」とか言って、アニメも原作も全部チェックしてます。実写映画も観に行きました。

 森久保さんのエピソードもすごく素敵です(笑)。

森久保 まさか、家族で『東リベ』の話で盛り上がるようになるとは思わなかったよ(笑)。

 きっと、そういう現象がいたるところで起きているということですよね。

森久保 あとは、地元の同級生でスケバンだった子からも連絡があって。

 実際にヤンチャだった方からも!(笑)。

森久保 「『東リベ』面白いね!でも、稀咲、全然出ないじゃん」ってメールが来た(笑)。

 あはは(笑)。

最後に、アニメを最終話まで観てくださったファンの皆さんにメッセージをお願いします。

森久保 皆さん、ここまで本当にハラハラしながら観ていただいたと思いますが、最終話を観て、よけいにハラハラしていらっしゃるところだと思います(笑)。皆さんの思いがあれば、きっとこの先のお話もアニメという形でお披露目できるかと思いますので。応援をよろしくお願いします。あと、この作品は、物事から逃げると後悔が残るんだ、ということを教えてくれているとも思います。ぜひ後悔のない人生をお送りください。

 元々、原作ファンだった方もアニメから入られた方も、僕と同じように、心がどんどん惹きつけられていき、きっとアニメの『東リベ』の良さも知っていただけたと思います。森久保さんも仰っていましたが、この先もアニメで観るためには、皆さんの応援が絶対に必要になりますので、これからも応援をよろしくお願いします。あと、第1話から観ていると、きっと好きなキャラクターがどんどん変わっていったと思うんです。ここまでのお話だと、ドラケン、マイキーから始まり、場地、千冬とかになっていったのでしょうか。でも、この先、どこかのタイミング、最終回を迎える頃には、タケミチを推してくれる人も増えていたらいいなと願っています(笑)。アニメの続編があるとすれば、タケミチのファンもきっと増えるんじゃないかなと思うので、そこも含めてよろしくお願いいたします。楽しんで観て下さって、本当にありがとうございました。

取材・文◎丸本大輔